文系と理系で迷ったら、どんな内容を学び続けたいかと、その進路に必要な履修・入試科目を合わせて考えましょう。機械の仕組みや自然現象を実験・数式で調べたいなら関連する理工系の学科、言語・歴史・社会や経済の仕組みを調べたいなら関連する人文・社会系の学科を、授業内容から比べるのが出発点です。
「理系なら研究職、文系なら総合職」と就職先が決まるわけではありません。また、看護など資格を目指す進路では、文系・理系という名称より必要な養成課程や国家試験の受験資格が重要になります。
高校での科目選択、大学の出願条件、入学後の学び、就職・資格の条件は別のものです。この記事では職種の例を手がかりに、それぞれをどう調べれば進学先を絞れるかを説明します。仕事がまだ決まっていない人も、まずは気になる学科を2〜3つ比較してみてください。
理系に進学した場合の就職
理系の学びにつながる仕事の例には、機械・電気電子などの製品開発や技術職、物理・化学・生物などの研究職があります。ものづくりや、現象の仕組みを確かめる研究に関心があるなら、学科で扱うテーマを調べてみましょう。
ただし、同じ「理系」でも、実験、設計、プログラミング、フィールドワークなど学び方は異なります。気になる授業のシラバスや研究室の紹介を読み、何を使って、何を調べ、どんな課題や卒業研究に取り組むのかを確認すると、学部名だけより具体的に比べられます。
研究の場には大学・公的機関のほか、化粧品・製薬などの企業も考えられます。目指す職種によっては大学院での研究を含めた進路を調べることも必要です。たとえば産業技術総合研究所の採用案内には「修士卒研究職」「博士卒研究職」という区分があります。学部卒か大学院修了か、専門分野などの応募条件は、それぞれの募集要領で確認してください。研究職すべてで同じ学歴が必要という意味ではありません。
参考:産総研・修士卒研究職/博士卒研究職。ここでは採用区分の例として紹介しています。応募資格や募集時期は、応募する年度の募集要項で確認してください。
理系から営業・マーケティングなどを検討する道もあります。学んだ分野に関わる製品やサービスについて説明することも考えられますが、専門知識があるだけで高評価や採用が保証されるわけではありません。募集職種の業務内容と応募条件を見て、自分の学びをどう生かせるか考えてみてください。
医学・薬学・看護など、医療に関わる学びもあります。医師・薬剤師・看護師はそれぞれ資格の要件が異なり、「理系の大学に進めばどの資格でも取れる」というものではありません。関心のある職業の養成課程を早めに調べましょう。
文系に進学した場合の就職
文系から考えられる仕事の例には、営業、マーケティング、経理、総務などがあります。ただし、文系卒のほとんどが総合職になる、全員が同じ職務経験をたどる、と決めつけることはできません。
「総合職」「事務系」などの採用区分は、実際に担当する職種の名前と必ずしも同じではありません。採用コースごとに、応募できる学部・学科、最初の配属、異動や専門性を深める仕組みを確認しましょう。
一社の例ですが、NEXCO中日本の採用FAQでは、事務系は全学部・全学科が対象、技術系は理系の全学部・全学科が対象で、専攻に応じて「土木」「電気」「システム・通信」「機械」「建築」の5区分から選ぶと案内しています。事務系という名前だけで「文系限定」とは読めないことが分かります。これは同社の条件で、ほかの会社にも共通するとは限りません。
出典:NEXCO中日本・採用FAQ。実際の応募時には、その年度の募集要項も確認してください。
文系の学部でも、経済・経営、法律、文学・言語・歴史など、学ぶ内容は幅広くあります。たとえば経済・経営なら、社会や企業について何を理論・データで分析するのか、文学などなら、どんな作品・資料・言語を扱い、どのように読む・調べる・議論するのかを授業案内で比較してみましょう。
論理的に考えることや発表・文章作成は、学科の授業や演習で取り組む内容を見て判断します。文系というだけで全員が同じ能力を身につけるわけでも、理系にはその学びがないわけでもありません。
研究も理系だけの仕事ではありません。厚生労働省の職業分類には、自然科学系研究者と人文・社会科学系研究者の区分があります。将来研究をしたい場合は、文理の名前より、研究したいテーマと必要な専門性から進学先を探しましょう。出典:厚生労働省編職業分類・研究者。
専門学校という選択肢もある

特定の職業につながる実践的な学びを重視するなら、専門学校も候補になります。ITエンジニア・プログラマー、CG・動画制作、デザイン、看護・栄養など、関心のある分野の学科を調べてみましょう。
専門学校なら就職に困らない、入学すればすぐ即戦力になれる、という保証はありません。実習で何をするのか、必要な設備を使えるか、修業年限と総費用、卒業後の進路が希望職種に合うかを確認します。就職実績を見るときは、年度、卒業者数・就職希望者数などの分母、希望分野への就職かも分けて見ましょう。
資格を目指す場合は、「取得できる資格」と「国家試験の受験資格が得られること」を区別してください。看護師を目指す道は専門学校に限られず、指定を受けた大学、学校、看護師養成所などのルートがあります。必要な課程を修めて受験資格を得たうえで、国家試験への合格と免許が必要です。大学でも、どの学部でも受験資格が得られるわけではありません。
出典:文部科学省・看護師等医療技術者の養成/保健師助産師看護師法・第7条、第21条。看護師以外の資格も、職業ごとの公式案内と学校の指定状況を確認してください。
専門学校の「専門士」「高度専門士」という称号も、所定の要件を満たした課程に関するものです。すべての学科で自動的に得られるわけではなく、職業免許や就職保証とも別です。大学への編入や大学院への進学を考える場合は、その課程の認定・出願条件も確認します。参考:文部科学省委託事業「知る専」・専門学校について。
何をしたいかを考えて進学先を選ぼう
就きたい仕事がある人は、その仕事に必要な資格・学歴・専門分野から逆に調べると、候補を絞りやすくなります。まだ決まっていない人は、仕事を一つに決める前に、興味のある分野の授業や課題を比べてみてください。
| 分けて考えること | 確認する内容 |
|---|---|
| 高校の履修選択 | 必要な科目を履修できるか、変更の期限はいつかを学校で確認する。 |
| 入試・出願条件 | 受験する年度・学部・選抜方式ごとに、必要科目・配点・出願条件を募集要項で確認する。 |
| 入学後の学び | 必修科目、実験・演習・実習、ゼミや卒業研究を比べる。 |
| 期間と費用 | 卒業までの年数、大学院を目指す場合の期間、学費・生活費を見積もる。 |
| 資格・就職 | 養成課程の指定、国家試験の受験資格、希望職種の応募要件と実績の対象を確かめる。 |
まず、候補の学科を2〜3つ挙げ、興味のある授業を一つずつ選んで、何を学び、どんな方法で取り組むかをメモしましょう。そのうえで入試科目と高校での履修予定を照らし合わせると、「得意科目だけで決める」「就職イメージだけで決める」といった選び方を避けやすくなります。
気になる内容が分からなければ、授業紹介・シラバス・研究室案内を読み、オープンキャンパスや学校の先生への相談で確かめてください。履修や出願の期限があるので、後から自由に変更できると決めつけず、学校・大学ごとに確認することが大切です。
文系・理系のどちらかに一律の正解があるのではなく、自分が学びたい内容と、進むための条件が合うかで判断しましょう。大学だけでなく専門学校も含め、実際の教育内容と進路の条件を比べることが、納得できる選択につながります。





広告|進研ゼミ中学講座
教材・受講費・入会条件を公式サイトで確認

